野菜は洗うの?洗い方もしっかりおさらい

野菜は毎日たっぷり摂りたい食材として、食卓には欠かすことのできない存在です。

調理する前の下ごしらえも、正しく上手におこないたいですよね。

野菜は洗ったほうがいいのか、それとも、実は洗わないほうがいいのか、

洗うのならば、どのように洗うのがよいのかを、意識したことはあるでしょうか。

そこでこの記事では、洗う野菜と洗わない野菜の説明や洗う際の注意点、さらに、「50℃洗い」についても紹介します。

基本は「洗う!」と覚えておこう

国内で一般的に流通している野菜たちは、一見してとてもキレイです。

それでも、調理を始める前の下ごしらえでは、野菜は洗うことが基本ルールです。

畑の土が付いたまま残っていたり、小さな虫が潜んでいたりする可能性があるからです。

そのほかにも、細菌やバクテリア、農薬なども気になりますよね。

また、野菜に含まれている栄養素を無駄なく効率よく摂取する目的で、皮をむかずにそのまま丸ごと食べたい場合もあります。

そのため、野菜はやはり洗うのがベターといえるのです。

どのくらい洗えば安全?農薬のお話

野菜は下ごしらえで洗うのが原則です。

しかし、農薬の安全性のみをフォーカスするならば、洗わなくても安全だといえます。

なぜなら、野菜や果物に使われる農薬の安全性は、2つの法律で守られているからです。

1つは農薬取締法。この法律では、農薬の種類や量、使用方法や使用期間などを農作物ごとに定めています。

もう1つは残留農薬基準です。残留農薬基準は、販売する段階での農作物の安全性を確保するための法律です。

この基準量ならば、一生涯に渡って毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響は無いと推定される一日あたりの摂取量を設定しています。

残留農薬基準を検査する際には抜き取り検査(サンプリング検査)をおこないますが、対象となる農作物を洗うことなく、皮もむかない状態で使用します。

つまり、残留農薬に関しては、野菜や果物を洗わないままで丸ごと食べても、健康への影響は考えられないレベルだということになります。

とはいえ、キレイに見えても土やホコリなどの汚れは付いている場合があるので、野菜は基本的に正しく洗ってから食べるのがいいのですね。

【野菜の洗い方】トマトやキュウリなどの果菜類

では、野菜別に洗い方の注意点を説明しましょう。まずは果菜類からです。

果菜類は、花が咲いたあとにできる実が野菜になる種類で、トマト、キュウリ、ナス、ピーマンなどがこれに当たります。

皮をむかずにそのまま食べることも多い野菜ですよね。

洗うときには、最初に水を張ったボールや洗い桶に3分間ほど浸けます。

その後、蛇口から出る流水でひとつずつ洗いましょう。

果菜類は実なので洗いやすいフォルムの野菜が多いです。

それでも、ヘタやガクの付近、キュウリのイボ、ピーマンのでこぼこのへこみなどは、汚れが溜まりやすいパーツです。

水に浸けることで落ちやすくなっているので、丁寧に洗い流します。

ナスのガクにはトゲがあるため、注意して作業しましょう。

【野菜の洗い方】キャベツやほうれん草!葉菜類はどう洗う?フォルム別にご紹介

地上に出ている茎や葉などが食用部位であるのが葉菜類です。

キャベツ、レタス、ほうれん草、白菜、こまつな、水菜、長ネギなどがこの仲間です。

葉菜類を形状ごとに3つのグループに分け、洗い方を説明します。

葉が重なり合った葉菜類は?

キャベツ、レタス、白菜のように葉がぴったりと重なり合った形の野菜を洗うときには、1枚ずつはがしてから洗います。

葉の内側や芯に近い部分に、汚れや虫が付着していることがあります。

1枚ずつ流水で洗い流すのがベストです。

外側の葉は、虫食いや汚れなど、特に気になる点がなければ、必ずしも捨てる必要はありません。

キャベツや白菜の外側にある濃い緑色の葉には、ビタミンCが多く含まれていますよ。

また、レタスにもビタミンCが含まれていますが、そもそも水溶性のビタミンなので洗い過ぎると流れてしまいます。

内側の葉は外気に触れているわけでもないので、さっと洗うくらいで大丈夫です。

根元で密集してまとまり合った葉菜類は?

ほうれん草、こまつな、水菜などのように、根元が密集した形状の葉菜類は、重なり合った根元に土が入りこんでいることがよくあります。

ボールに水を張ったところに根元が浸かるようにして入れ、数分そのまま放置します。

水から上げる前に上下に動かして土を浮き上がらせるようにした後、流水の下で根元付近の茎の間を広げて洗い流しましょう。

次に、葉や茎の部分を丁寧に洗い流せば完了です。

長ネギや九条ネギはどう洗う?

長ネギや九条ネギの、白い部分から青い部分に色が変わり、複数の葉に分かれる分岐点付近には土が溜まっていることが多いです。

付け根の部分を開いて流水を当て、丁寧に洗います。

長ネギの葉に入っているゼリー状の液には、貴重な栄養分が含まれています。

それまで洗い流してしまわないように気をつけましょう。

タマネギも葉菜類!どう洗う?

タマネギは、皮のまま食べることはほとんどありませんよね。

皮を剥いた後、泥汚れなどが気にならなければ、洗わなくても構いません。

根の部分に土がついていることがありますが、さっと洗い流す程度でも大丈夫です。

【野菜の洗い方】ブロッコリーやカリフラワー!花菜類の洗い方

花菜類は、ブロッコリーやカリフラワーのように、花茎や花蕾を食べる野菜のことです。

花蕾の間に入りこんだ小さな虫や土などの汚れを落とすために、水に浸けて洗います。

小房に分けると洗いやすいのですが、ビタミンCの流出を防ぐため、切り分けずに洗っても大丈夫です。

ブロッコリーやカリフラワーの茎の部分を持って逆さまにし、ボールに張った水の中に花蕾の部分を漬けます。

水に浸けたまま回転させたり、上下左右に動かしたりして、振り洗いをします。

キレイな水に取り替えてから、もう一度同じ作業を繰り返した後、水から上げて流水で花蕾と花茎をさっと洗って仕上げましょう。

【野菜の洗い方】じゃがいも・にんじん・だいこん!根菜類はどうするの?

地下に育つ根の部分を食べる野菜が根菜類です。

よく食卓に並ぶ野菜には、じゃがいも、さつまいも、さといも、ながいも、そして、にんじん、だいこん、ごぼうなどがあります。

土の中で育った野菜なので、くぼみには土が付いていることが多いですよね。

にんじんやだいこんは手でも洗いやすいですが、根菜類を洗うときには、タワシやブラシを利用するのが便利です。

ちなみに、じゃがいもは皮ごと茹でたほうが、皮を剝いてから茹でるよりも、たくさんのビタミンをキープできます。

また、にんじんやだいこんに含まれる栄養素は、中心よりも皮に近い部分のほうが多めです。

丁寧に洗って皮ごと調理すると、栄養素を有効に摂取できますよ。

さつまいもは、土が落とされた状態で手元に届くことも多い野菜です。

優しく水洗いするだけで十分でしょう。

ごぼうは、皮についた土を洗い流そうとするあまり、ブラシなどでゴシゴシと洗い過ぎてしまうと、独特の風味や旨味が損なわれます。

洗う際には、力を入れ過ぎないように注意が必要です。

さといももながいもも、数分間水に浸けてから洗います。やはり、ブラシなどを使って洗うといいでしょう。

【野菜の洗い方】もやしや豆苗は?発芽野菜も洗うのがベター

ブロッコリースプラウトや豆苗、カイワレ大根のような発芽野菜は、スポンジの土台が付いたまま売られていることが一般的です。

土台から切り離して、水の中で泳がせるように洗ってもいいですし、土台についたままの状態で食べる部分をボールに張った水に浸け、中で振り洗いしてもいいでしょう。

もやしも調理前に洗うのが安心です。ビタミンCが流れ出るのを防ぐため、水を張ったボールの中でさっと洗い、手早くザルに上げて水を切ります。

【野菜の洗い方】きのこは例外!洗わないで!

野菜は洗うのが原則ですが、えのき、エリンギ、しいたけなど、きのこ類だけは例外です。

洗うと水気を吸ってしまい、せっかくの風味が台無しになるからです。

汚れが気になる場合はキッチンペーパーや布巾を湿らせて、表面をやさしくなでるように拭いて汚れを落としましょう。

ただし、きのこでもなめこだけは別扱いです。

袋から出したらザルにあけて流水で洗うか、沸騰した鍋のお湯の中で1分ほど湯がいてからザルにあける方法で洗います。

【野菜の洗い方】番外編!?たけのことトウモロコシはどうやって洗うの?

たけのこは土の中に埋まっているので、土が付着している場合がほとんどです。最初に流水でよく洗い、土を洗い流しましょう。

トウモロコシは、一番外側の皮には汚れが付いていることもありますが、外側の皮を剥いてから調理する場合は洗う必要はありません。

しかし、汚れが気になるのならば、水洗いしてもいいでしょう。

気になる【50℃洗い】ってなに?どうやって洗うの?

野菜の50℃洗いは、ヒートショック現象を利用して野菜を蘇らせる洗い方です。

野菜は畑から収穫されると、水分が蒸発するのを抑えようとして表面にある気孔が閉じた状態になります。

ところが、50°前後のお湯で洗うとヒートショック現象の作用で表面の気孔が開きます。

そこから細胞が水分を吸収することができ、野菜がみずみずしくなるという原理です。

レタスを例に取り上げて、50℃洗いの方法を説明します。

まず、ボールに50℃前後(48~52℃)のお湯を張ります。

1枚ずつ剥がしておいたレタスを重ねてボールに入れ、30秒~1分浸しましょう。

お湯から引き上げたら、そのまますぐに冷水に浸して冷やすだけなので簡単です。

50℃洗いでの大切なルールは温度と時間を守ること。

温度が高すぎると栄養分が損なわれますし、逆に低すぎると雑菌が繁殖するリスクが生じます。

時間と温度を守り、正しい50℃洗いをおこないましょう。

きのこ以外の野菜は洗うのがルール!

原則として、きのこ類以外の野菜は調理する前に洗うのがベターです。

農薬については、さほど心配する必要はありませんが、虫や泥などの汚れは、キレイに洗い流してから美味しく食べたいですよね。

皮や皮に近い部分に栄養素が多く含まれている野菜もたくさんあります。

正しい洗い方を意識しながら丁寧に汚れを落として調理すれば、野菜が持つ栄養素を無駄なく効果的に摂取できるのではないでしょうか。